読書の広くて深い世界に触れるようになるには
東野圭吾さんが亡くなられ、今まであまり読んだことがなかったので、何か小説を読んでみようと思い立って、選んだ作品が『人魚の眠る家』でした。人の命について考えされられるという感想があり、ちょっと興味を持ちました。内容は、ざっくり言えば、プールの事故で脳死状態となった娘を育てていくというものです。意識もない人間を電気刺激で動かし、さも生きているかのようにふるまうのはどうなのかといった点は、とても考えさせられました。意識がなくてもAIなどによって動いているロボットをまるで生きている人のように感じてしまうことはあると思います。それが、本当の人間の場合、体は生きていても意識もなく、電気刺激で体だけが反応したり、動いたりすれば、ある意味とても気持ち悪いと感じてしまいます。でも、ロボットと人間に何の違いがあるのでしょうか。どちらも、実際は何を考えているか本当のところは、知ることができません。ただ、反応をみて、自分の感情と照らし合わせ、予想をすることで、生きていると感じているにすぎません。もちろん、ロボットと人間は確実に違いますが、その境界線をどこに引くのかということは、思った以上に難しいのではないでしょうか。
今の中学生は、長編小説どころか、本をあまり読みません。こういう自分も中学生の頃はほとんど本を読んでいませんでした。でも、本を読むと、いろいろな人の考え方や見方、生き様などに触れることのできます。上記のような哲学的なことも、小説を通して知ったり、考えたりすることがあると思うのですが、中学生は、そんな機会をどこで得ているのでしょうか。もしかするとSNSなど、出所のよくわからない情報を鵜吞みにしてしまっている可能性もあります。学校では、読書活動が削られ、読む機会は本当に限られてきています。そんな子供たちに少しでも本の広くて深い世界に興味をもってもらうにはどうしたらいいのか。教職員だけでなく保護者や地域の方々も巻き込んで、みんなで考えていきたい大きな課題です。